私がマックレーSRXエリートにたどり着くまで

 

                                                      北海道北見市 吉田 正敏

《初めの一歩》

 今から30年以上も前は、キャンプとは食料・衣類・道具で膨れあがったリュックの上に更にテントや炊事道具をくくりつけて背中に背負い、人混みでは邪魔にならないように横になって歩くので「かに族」と呼ばれるスタイルでした。(今では死語)

  それが自動車の普及により「オートキャンプ」と呼ばれる、車にキャンプ用品を積んでキャンプ場へ乗り付けるスタイルへと変化しました。 今でもこのスタイルを愛する人はたくさんいますが、そこから更にテント設営等を省き、より利便性の高い「キャンピングカー(トレーラー)」での旅行スタイルが派生しました。

 私は、流石に「かに族」は大変なので、ほとんどこの経験はなく、結婚して子供が出来てから1ボックスカーによる「オートキャンプ」を始めたのですが、我家のキャンプコンセプトは「大自然の中で自宅と同様の快適な生活」でしたので、コールマンスリーバーナーコンロ(誤記ではありません)・ポータブルトイレを始め発電機・ポータブルシャワーセット・テレビデオ(2台)・電気炊飯器・2WAY冷蔵庫・3WAY冷蔵庫・屋外蛍光灯等々、電化製品をタップリ持参する「電化オートキャンプ」となりました。

 テントも就寝用ロッジ型、生活用スクリーン型、トイレ専用、荷物用小型ドーム型の4種類を設置し、昼寝用折りたたみベッド2台、折りたたみロッキングチェア1台なども持ち込み、5人家族が余裕タップリで楽しんでいました。 お陰で、当然1ボックスカー1台では運びきれず、小型のカーゴトレーラー(リヤカーの親玉の様なもの)を地元で作製してもらい、このカーゴトレーラーと車のルーフキャリアーにまで荷物を積み上げ、アフリカ探検隊のようなスタイルでのキャンプとなり、キャンプ場では、いつも「いったい何泊するんですか?」と聞かれていました。オートキャンプの良さは、とにかく手軽なことです。取りあえずテントがあれば何とかなります。1列目から3列目シートまでフルフラットになるワゴン車なら、テントが無くても何とかなります。

《思い切ってトレーラー》  

 しかし、子供が小さかったため、これらの設置はほとんど私一人での作業だったので、流石に設営・撤収が面倒になり、数年でトレーラーでの家族旅行へと変わりました。

 その当時トレーラーを選んだのは、家族5人で利用するキャンピングカーで気に入ったものが無く、結局牽引車は当時国産5ナンバーで最大のワンボックスワゴン「ハイエースワゴン4WD」とヨコハマモーターセールスで発売を開始したばかりのキャンピングトレーラー「フォレスター」の組み合わせとなりました。

 このフォレスターは、現在から見ても良くできたトレーラーで、当然設置型トイレ・温水シャワー(ボイラー)・2口ガスコンロ(5kgボンベ2本)・3WAY冷蔵庫・FFヒーター・流し台・清水タンク(100?)・排水タンク・ブースター付TVアンテナ付きで、床下収納庫まであり、発電機は既に持っていたので、私が追加したのは電子レンジのみでした。

トレーラーの良さは、目的地でトレーラーを分離し、ヘッド車で自由に観光・温泉行き・買い物ができることで、またトレーラーにはエンジン・ガソリンタンク等が付いていないためレイアウトが自由で広いことです。難点は駐車場探しで、2台分のスペースのある駐車場を探すのが結構大変で、更にフェリー料金・高速道路料金も割高となってしまいます。

 このスタイルで13年間、家族5人が不足無く旅行を楽しんでいたのですが、子供の成長に伴い、それぞれが自立して一緒に旅行が出来なくなり、また流石に13年利用すると水回りに劣化が目立ち買い換えの検討が必要となり、また定年も間近なことから「終の棲家」として「動く別荘」の物色を始めました。夫婦二人旅が基本であり、全国を旅するとなるとフェリー利用が必須なので、トレーラーではヘッド車と2台分の料金が必要となり、自走式に変更することにしました。

《今度は自走式》

 我が家のキャンプでは当初から「発電機」利用が当然のスタイルとなっており、「終の棲家」たる夫婦二人旅用自走式キャンピングカーの最初の条件は「発電機搭載」でした。 この条件で国内外のキャンピングカーを調べた結果、最終的に残ったのがマックレーのSRXエリート590となりました。 私の条件は、@発電機搭載、Aフォレスターと同等以上の装備・居住性、B走行性能と経済性が良いこと、C雪道(雪の坂道)に強いこと、D車庫(H280cm)に入ること、E将来、孫たちとの旅行も考え、乗車定員・就寝定員が多いこと、等が主なものでしたが、@はマックレーの売りであり、Bは旧型SRXは当時キャンピングカーベース車として高く評価されており(公称103馬力は過小で130馬力程度はあると言われていた。)、Eは10人乗り7人就寝と、マックレーのディブレイクSRXは難なくクリアし、Aは当方の希望(ワードローブ設置・トイレに収納庫付洗面台と暖房配管の設置、トイレドアに全面大型鏡取り付け、17型液晶TV・DVDビデオデッキ・インバーター2台・コンセント2カ所増設等々)を伝えたところ、全て可能との回答が寄せられました。しかし、C雪道に強いこととD車庫(H280cm)に入ること、で引っかかりました。私が住む北海道北見市は厳寒地で、地球温暖化で流石に今は−20度を下回ることは少なくなりましたが(子供の頃に−35度を経験しています)、北海道でも有数の寒冷地の上、坂道の多い町で冬期間はテカテカに凍結します。よって、当地では四駆が当たり前で、それ以外の駆動方式の車で冬道を運転すると、すぐに坂道で動けなくなり、他人に多大なる迷惑をかけてしまう土地柄です。 こうした住環境なので、当初キャンピングカーの選定を始めたときは四駆ではないSRXベース車は除外しておりました。ところが発電機搭載の第一条件をクリアしたマックレーのH..を覗いたところ、当時「雪道走行記」があり、文中に「L...付リヤダブルタイヤのSRXベースキャンピングカーが、国産フルタイム四駆車が登れなくなった峠を難なく登り切った。」と記載があり、再考させられました。というのも、私のハイエース4WDワゴンには保険と思いL...(リミッテッドスリップデフ)を装着していましたが、元々四駆なのでその効果が良く判りませんでした。 しかし、豪雪の冬のある日、職場への急坂で、同僚のランクルがスタックして動けなくなったところを、我がハイエースが難なく登り切り、その同僚に驚かれたのですが、理由はL...の有無しか考えられず、威力を思い知らされておりました。 よってCは良しとしました。ここまで来れば残りはD車庫の入り口の高さだけとなり、こちらは内側に付いていたシャッター部を外側に取り付けて間口高を確保する改修でクリアしました。 かくして、京都と北海道北見市なので、実車は一度も見ずに本当にテレフォンショッピングの末、約8カ月後に(当方の特注が約20個所と大変多かったせいもあります。)待望のディブレイクSRX590エンブレム・エリートEXフルパックバージョンが納車されました。

《これが終の棲家》

 デビューは、今日本で一番話題の動物園、旭川市の旭山動物園を、途中の大雪山中の層雲峡温泉で一泊し、翌日の朝から見に行こうという行程となりました。 北海道の夏はいつでも涼しいと思われがちですが、日本で一番の高気温を記録する日も珍しくなく、当日も気温34度を超える猛暑日でしたが、北海道の屋根「大雪山」で、以前のハイエース・フォレスターコンビでは時速30km以下に落ちる急坂も、SRXは他車に迷惑をかけずに快適に登り切ってくれました。

 層雲峡温泉では、温泉で汗を流した後に、エアコンが十分に効いた車中で、オール電化の簡単・安全な調理で夕食を取り、よく冷えたビールを飲みながらお気に入りのDVD・ビデオを鑑賞するという、更に快適さを増した「大自然の中で自宅と同様の快適な生活」を満喫し、翌日は旭山動物園の開園と同時に入園し、「行列の出来る動物園」を行列が出来る前に十分に堪能することができました。

  このように我が家は当初から先ず「発電機ありき」でしたので、無いのはバスタブぐらいという、自宅とほぼ同じ生活が可能な旅行は家族に大歓迎され、また、ホテルや交通機関の予約が全く不要な自立型キャンピングカーは時間的な制限もなく、「風の吹くまま気の向くまま」の旅行が可能で、自由という点ではこれに勝るものは無いと考えます。 マックレー売りの発電機は、稼働させる環境に気配りをしていますが、国産最高レベルといえる静粛性があり、稼働時の発電機の真後ろ(排気管が出ている方向)ではそれなりの「ボボボボ」という低周波の稼働音がありますが、サイドに回れば音量は半減し、車の正面(反対側)に回ると「どこかで何かが稼働しているな〜。」程度の音になり、車内ではほとんど気になりません。よって、国道沿いの駐車場や、雨降り、風の強い日などは、他の騒音の方が高くて発電機稼働音はかき消されてしまい、使用できない状況の方が少なく感じます。大出力2.Kwの発電機と言えども、流石にルーフエアコンと電子レンジやIHヒーターの同時使用はできませんが、電子レンジとIHヒーターは同時使用できるので、レトルト食品利用が多い我が家の調理時間は短時間で済みます(約5分!)。また私のSRX590エンブレムは、リヤ2段ベッド幅を75cmとし(ノーマルは100cm)、トイレの奥行きを25cm拡大し、反対側(流し台側)に25cm幅のワードローブを設置したため、トイレに窮屈感は無く(ガニ股使用にならない)、ワードローブには夫婦二人旅に必要十分なハンガー6〜7本が掛けられ便利です。ベッドの幅は広いに越したことはありませんが75cmあれば、頭の下で手を組んで寝られる広さがあり窮屈感はありません。

《更に改良》

 購入後の大きな改良点は(小さいのはたくさんあります。)、85Wソーラー発電パネルを取り付けた事です。無敵の発電機搭載のSRX590エンブレムですが、省エネルギーと無限に降り注ぐ太陽エネルギーを利用しない手はないと考え装着しました。スペース的にはもう一枚装着できますが、何せ3mを超える車高に加え、ルーフエアコン・BSアンテナ等が既に屋根の上に載っており、重心が高いので、どうするか迷っています。また、私は厳寒地の北海道で流石に冬期間はキャンプ旅行をせず、車は正に「冬眠」させるのですが、そのせいで最初の越冬でバッテリーが完全放電してしまいました。そこで、サブバッテリー回路に着いていたAC充電器を切り替え可能にしてメインバッテリーも充電できるようにしてもらいました。お陰で今は冬眠後の春の目覚め始動も一発です。これらの改造は、まさか京都まで持ち込むわけには行かず、北海道代理店の札幌市ノースライフで面倒を見てもらっています。片道300Kmありますが、大変面倒見が良く、あれこれとわがままを聞いてもらっています。

  マックレーは、素人の思い付きであっても真剣に検討してくれ、可能な限り要望に応えてくれます。 定年間近の私は「終の棲家」として、間違いなく「世界に2台と同じ車がない」マックレー製キャンピングカーが大変気に入っています。

 ただ残念なのは、先の新排気ガス規制のため、我が「終の棲家」のベース車となったヒュンダイSRXの輸入の目途が立たなくなり(これは排気ガス基準をクリア出来ないのではなく、個人輸入車の検査料金がバカ高くなった為で、SRXそのものは日本より厳しいヨーロッパ基準をクリアしています。)、更に高性能となった新型SRX(145馬力)ベースキャンピングカーの入手が当面困難となり、これからの購入を検討される方の大きな選択肢のひとつが失われてしまったことです。

  以上、車キャンプ、トレーラー、自走式キャンピングカーについての経験談をご披露しました。それぞれに良さがあり、何かの参考になれば幸いです。